- 2023.03.18
- 棟下式
東京都葛飾区にて『棟下式(むねおろしき)』が執り行われました。
2023年3月吉日、東京都葛飾区にて、「棟下式(むねおろしき)」が執り行われました。葛飾区青砥にてプレス工場を営んでいる施主様よりご依頼をいただき、棟下式を執り行う運びとなったものです。
この地域で昭和16年ごろから工場を営まれ、建築金物などの製造工業をされていた施主様ご一家。現在の建物は1970年(築53年)に、施主様のお父様が建てられたもので、 工場兼住まいとして活用されてきました。一時は、施主様ご家族、ご兄弟家族の10名で住んでいたこともあり、ご親族皆さんの思い出がたくさん詰まった建物です。
当日は生憎の天気でしたが、息子様ご夫婦をはじめ家族三世代が集い、厳かな雰囲気の中で建物への感謝とお別れのひと時を過ごされました。 滞りなく清祓いの議を終え、長い間見守ってくれた神棚を施主様自らの手で取り外し神職に託されました。
その後は、ご親族皆さんで部屋に集まり、当時の懐かしい写真をご覧になりながら思い出を振り返り。
「家との別れを考えると寂しいね。棟下式に参加して、走馬灯のように色々な事を思い出しました」と万感の思いが溢れるご様子の施主様。 昔は周辺にたくさん工場がありましたが、時代とともに採算が合わずどんどん減っていったそう。施主様は昨年まで10年以上、おひとりで仕事を続けておられました。
一番思い入れがある機械は高価なワイヤーカッターで、「この機械が一番稼いでくれたから」とのこと。今回、この機械の買い替えが必要になり、工場を閉鎖しようと思ったきっかけになったのだそうです。
甥御様方からも懐かしい思い出話が次々と聞かれ、「小さい頃、お正月などに親戚が集まってこの居間で過ごしたことをよく覚えている」「ここに遊びに来ると、いつも工場からガッチャンガッチャンと機械が動く音が聞こえてきたのが印象深い」「この家でおじいちゃんがカップヌードルを初めて食べた(当時初めて発売された)のを思い出す」など、とても思い出深いご様子でした。
今回、棟下式をもって建物は建て壊しとなりますが、思い入れのある「家紋入りの門扉」や「万力(まんりき)」は新たな住まいの外構の一部に移設され、工場入り口にたたずむ松の木の枝も施主様自ら切り出していただき色鉛筆にリメイクし施主様の元に戻ります。また、一部古材はレスキューされ、近隣地域にて利活用される予定です。
中央グリーン開発では今後もこの「棟下式(むねおろしき)」を、広く業界の新しい文化として広めていくべく取り組んでいきます。