AWARD
2024
グッドデザイン賞 受賞
2024

『ステイパス』のある風景
【ビー・グレイス流山おおたかの森 ステイファースト】
東南西三方を道路に囲まれた全15棟の分譲地です。
通常の配棟プランでは、アプローチを道路に向けて計画しますが、建物同士が背を向き、動線が分断され、住民間同士の自然なコミュニティが生まれにくくなります。また2台カースペースを優先することが多く、緑地帯の確保も難しくなってしまいます。
そこで、本物件では各棟の間に、通行路としてだけでなく「滞在+小路」の役割を持つステイパスを設け、各棟のアプローチはステイパスへ接続させました。住民が動線を共有し、交流を育めるよう、ステイパスには四季折々の植栽を配置し、気軽に腰掛けられるベンチを設けました。
また、居室やデッキなどの中間領域をステイパスに面して設置することで、住民同士の自然な交流が生まれやすい環境としました。子ども達は、車を気にせず、大人に見守られながら走り回ることができます。
【審査委員の評価コメント】
住宅が個々の敷地の中で閉じてしまうのではなく、むしろ隣家と積極的に関わり合ってコミュニティを形成していけるような住宅開発は、実はこれまでにも数多く提案されてきた。この計画は、そのような中でも突出して「交流」に対して踏み込んだ提案をしている。敷地境界を自由に通り抜けられるだけでなく、誰でもが腰掛けることのできるベンチなどの設え、そして何よりも、各住戸の部屋が、その通り抜けに対して実に開放的に作られている。これならば、隣家との交流は、ごく自然に促されていくことだろう。空間の力を信じているこうした設計姿勢は、高く評価したい。